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死者の血は人間の様に生臭くもなければ鉄臭さもないのだ。
「血って感じがしないよ…?」
「力が強ければ強い程甘味が増すんだ。戦闘の時、血液の甘さで相手の戦闘能力を図る奴もいる」
聖は納得したように頷くと再び俺の腕に舌を這わせた。
ペロペロと啜る聖は猫という生き物のようだった。
しかしそれとは別に時々大きく這う舌は何とも艶かしい。
俺はもどかしさから傷口を聖の口唇に押しあて口を塞いだ。
「ん……」
ドクドクと口腔内に流れ込む血液をムセ返りそうになりながら飲み込んでいく。
その苦し気な表情も俺を高ぶらせる。
頃合いを見て腕を離すと、左腕へ治癒能力を使い、傷口を完治させた。
聖の口の端からは飲み切れなかった血液が伝っている。
まるで吐血した後のようだ。
白のイメージカラーをもつ聖には紅がよく似合う…。
まるで紅に汚されているようで何とも言えず妖艶だ。
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