3502人が本棚に入れています
本棚に追加
それから聖は長い事眠り続けた。
呼吸は穏やかで寝返りひとつうたない聖は死人の様だ。
「癒羅様…聖様は…どうなっているのでしょうか?」
禰音だ。
長い間俺の専属使用人として仕えていた女だが今となっては聖を主人としている。
一度は聖を殺そうと企んでいたがな…
そんな事すら過去の話となった今、気を失った日から幼馴染みの使用人縲と寝ずに聖の傍にいるようだった。
「お前達は少し休め」
「そうはいきません!!」
「聖様が目を覚まされないのに眠る事など到底できません!!」
まったく…
俺に対して口答えなどした事のなかったこの二人が聖と出逢ってからこうも自分の意見を言うようになるとは…
とは言え、聖を最優先としている今、己の身よりも聖の身が心配でたまらないのだろう。
その気持ちは俺自身、よくわかっているせいか二人を責める事はできまい…。
「しかし、聖が目覚めた時お前達が衰弱していたら聖が悲しむぞ」
「ですが…」
「聖は俺の女だ。そこらの人間とはわけが違う。必ず目を覚ますさ」
「癒羅様……」
保証などどこにもない。
だがこんな事で死なれては困るのだ…
死者になり俺と共に生きると約束したではないか…。
最初のコメントを投稿しよう!