橙空朝

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「大物は遅れて参上?結城君」   結局、学校に着いたのは1限が始まって5分経った頃。   現国の時間。担当教師は氷の女王、鬼塚紗英(おにづかさえ)。俺にとっては担任でもある。大学卒業後、すぐにこの私立陽陰学校へ就職した。   「いいじゃんか。バスが遅れたんだよ、仕方ないって」   「おかしいわね、今日は3分早く来たはずだけど」   そして、厄介なことにこの教師。   俺のご近所さんで幼なじみだ。   「うっさい。馬鹿紗英」   「あんた、また成績表真っ赤にしとくからね」   ほら、すぐこれだ。   担任の権限使ってやりたい放題。   ちくしょう。   仕方ないから、おとなしく席に座るとするか。   「いいよな、彰。お前、なんであんなに鬼塚先生と仲いいんだよ。メルアドくらい知ってんだろ?教えてくれよ」   そう言ってくだらないこと話しかけてくるのは立花竜(たちばな りゅう)。中学のときからの知り合いだ。   「お前な、あんな無愛想女のどこがいいんだよ」   「端整な顔つき、ナイスバディ。クールなところも俺的にはアリだ」   年中エロいことばかり考えてるやつだ。言っておくが、飽くまで知り合い。友達ではない。
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