橙空朝

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やがて学校は終わり、それぞれが好きなことをやる時間がやってきた。   「彰、今日暇?あのさ、華月女子高と合コンあるんだけど……」   「ゴメン、無理」   「ちょっと、ノリ悪いな」   ノリ。日本が作り出した最も愚かな文化だ。   「用事あるから」   荷物を鞄にまとめ、竜の返事に構うことなく教室から走り出た。   俺は、何やってるんだ?   あの夢を信じるのか?   あの夢の通りなら、シャドウと大男が戦った場所は俺もよく知る場所。   昔、紗英によく遊んでもらったあそこだ。   紗英にも世話見のいい時期があったなんて信じらんないよ。今では。   とにかく、あそこへ行くんだ。   向かう先は俺達の住む住宅街の近くを流れる川を渡す橋の下。   あの河原で俺達はよく遊んだ。   かなり曖昧な記憶だけど、直感が俺にそう告げる。   そこに何かある。きっと。
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