橙空朝

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バスから降りてかなりの距離を走ったから、息が切れて汗もびっしょりかいた。   見ただけでは何のへんてつも無い、ただの河原。   シャドウ達の死体はもちろん、戦った形跡すら見当たらない。   しかし、何かを感じる。   陰気な空気か、はたまた昔の記憶か。   楽しかったあの頃と何も変わらない場所。それなのに、一刻も早く立ち去りたい。そんな気持ちでいっぱいだ。   それでも俺は探さなければならない。   手がかりを。   落ち着かない気持ちを沈めるためにはそうするしかないのだ。   草むら、コンクリートの壁、終いには川の中まで調べた。   まだ春先のクソ寒いこの時期に、だ。   しかし、それらしきものは見当たらない。   ここだと思ったんだけどな。
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