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「あーあ、もう少しでスパイ作戦成功だったのに……」
今、俺は下水道を歩いている。横には青い目の少女。先程からぶつぶつと俺に文句を言ってきては落ち込んでる。
「あのさ、俺はあんたが危ないと思って」
「あたしは大丈夫なんです!いくら傷ができても……例え心臓が潰れても、首をちょん切られても……」
少女は目からコンタクトレンズを外し、液体の入ったケースの中に入れた。やはり、そうだ。さっきからもう一人の俺も言っている通り、この少女はカラコンの持ち主だ。
「それ、カラコンだよね。君も持ってたんだね」
「"君も"って……」
少女は俺のことを覗き込んできた。そして、驚愕の表情を見せた。
「シャドウ!」
何かが、繋がった。聞いたことのある名前を、少女が叫んだ。
「シャドウって誰?さっきのメガネは何?君は何か知ってるんでしょ?」
少女は再び落ち込んだ。でも、さっきとは性質の違う落ち込み方だ。これは本当の落ち込み方。
「先程は取り乱したりしてすいません。あなたは何も知らないのですね。あたしは佐藤めぐみ。青色のカラコンの能力者です。あなたは?」
「俺は結城彰。灰色のカラコンを、まだ今日もらったばかりだけど」
少女は再び俺の顔を覗き込んできた。いや、正確には目を。
「やはり灰色ですね。あなたは、シャドウの残した最後の希望」
再び出てきた"シャドウ"というワード。敏感に反応してしまう。
「なあ、だからシャドウって何なんだよ?カラコンって、何なんだよ?」
「こんなところで話すのも嫌ですから、とりあえずどこか落ち着ける場所に移動しましょう。話はそれから」
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