蒼色眼

5/14
前へ
/99ページ
次へ
「あーあ、もう少しでスパイ作戦成功だったのに……」   今、俺は下水道を歩いている。横には青い目の少女。先程からぶつぶつと俺に文句を言ってきては落ち込んでる。   「あのさ、俺はあんたが危ないと思って」   「あたしは大丈夫なんです!いくら傷ができても……例え心臓が潰れても、首をちょん切られても……」   少女は目からコンタクトレンズを外し、液体の入ったケースの中に入れた。やはり、そうだ。さっきからもう一人の俺も言っている通り、この少女はカラコンの持ち主だ。   「それ、カラコンだよね。君も持ってたんだね」   「"君も"って……」   少女は俺のことを覗き込んできた。そして、驚愕の表情を見せた。   「シャドウ!」   何かが、繋がった。聞いたことのある名前を、少女が叫んだ。   「シャドウって誰?さっきのメガネは何?君は何か知ってるんでしょ?」   少女は再び落ち込んだ。でも、さっきとは性質の違う落ち込み方だ。これは本当の落ち込み方。   「先程は取り乱したりしてすいません。あなたは何も知らないのですね。あたしは佐藤めぐみ。青色のカラコンの能力者です。あなたは?」   「俺は結城彰。灰色のカラコンを、まだ今日もらったばかりだけど」   少女は再び俺の顔を覗き込んできた。いや、正確には目を。   「やはり灰色ですね。あなたは、シャドウの残した最後の希望」   再び出てきた"シャドウ"というワード。敏感に反応してしまう。   「なあ、だからシャドウって何なんだよ?カラコンって、何なんだよ?」   「こんなところで話すのも嫌ですから、とりあえずどこか落ち着ける場所に移動しましょう。話はそれから」
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

249人が本棚に入れています
本棚に追加