第五章

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「どうしたんだ?」 「………別れよ。」 「え…冗談だろ?」 「私は本気。」 「嘘って言ってくれよ…なあ!…頼むから。俺の何がいけなかったんだよ。教えてくれ。すぐに直すから。」 「あなたは何も悪くないのよ。悪いのは私。実は浮気したの。一回だけのつもりだったけど好きになっちゃった。ごめんなさい。」 「……」 言葉が出なかった。 涙だけがひたすらこぼれ落ちた。 『終わった…』 俺の初めての彼女…。 初恋の人。 大好きだった人…。 もう全てがどうでもよくなった。 俺は荒れた。 家でも父親と喧嘩ばかりしていた。 そのうち妹の優花にまであたるようになった。 「お兄ちゃん…。」 「なんだ!今一人でいたいからあっちいけ。」 「でも…。」 「なんなんだよ。何で俺にそんなに構うんだよ。俺のこと好きなのか?」 「…好きだよ。」 「じゃあキスしてやるよ」 「ンッ…イヤ…。こんなの嫌だよ…。どうしちゃったのお兄ちゃん…。ねぇ…。今のお兄ちゃん大嫌い!!」
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