第一章

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どれほど走っただろう。 ローズは走り疲れて立ち止まった。 気づけばローズの手足は木の枝や,葉による擦り傷や切り傷だらけ。 これだけ父親を求めて走っても,道もなければ見回してもどこも同じ景色。 「お父さん…。お父さん…。」 ローズは力なくつぶやきながら,うずくまった。 おなかがすいた。 手足が痛い。 もうくたくた…。 一人ぼっちで恐い…。 不安…。 涙も渇れるほど泣き,わずか5歳の小さなローズは,心も体力も,もう限界だった。 「お父さん…。どこにいるの?…。早く迎えに来て…。」
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