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とん
と、何かが光志郎の肩の上に乗ったのと、耳元で“ヒュッ”という風を斬るような音が聞こえたのは、ほぼ同時だった。
何かと思って光志郎が首を曲げようとした動作は、
「動くな」
という少女の声によって無効となる。
な、なんだぁ…!?
光志郎はその声の主を確認しようと、横目でそっと見てみる。
それは、全高が15cm程の、女の子の姿をした人形だった。
否、人形の形をしたロボットだった。
黄金(こがね)色の髪をツインテールに結び、その身体には黒いマントを羽織っている。
そしてどうやら、自分の頸元(くびもと)に何やら凶器らしき物を突きつけられているらしいのだが、これ以上動くと本気で攻撃されそうだ。
君は一体…?
と声を掛けるより速く、その機械の少女が口を開いた。
「じっとしていれば君に危害は加えない。だから大人しくここから立ち去って」
…うん、ここから立ち去りたいのは山々だ。
しかし君の言葉はかなり矛盾している。
身動きしないでどうやって立ち去れと?
それにここは俺の家じゃないか…!
光志郎は混乱した。
今日で二度目の混乱だった。
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