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誰か冷静な人がいるなら教えてくれ。俺はこの場合どうすればいい?ていうかドッキリか?これはドッキリなのか?そう言えばアキラが言ってたな、今日は俺の…
「危ない!」
突然、少女はそう叫ぶと、光志郎の肩から器用に宙返りをしながら部屋の端へと飛び移った。
光志郎も本能的に、それも動物が危機を感じた時並みの本能で、その場から後ろへ飛び退く。
と、その刹那、
どすっ
と鈍い音がしたと同時、今の今まで光志郎が位置していた場所に、黒い、とても鋭利な物体が床から生えていた。
…………。
冗談では無い。
光志郎はそう直感したのだろう。
黒い“それ”は、刃渡り5cm程の小さな刃(やいば)であった。しかしたとえどんなに小さかろうが使う者が使えば、人一人の息の根を止めるには十分過ぎる程の立派な凶器である。
それが今、光志郎目掛けて飛来して来たのだ。
いや、もしかしたらこの少女を狙ったのかもしれない。この状況ならそれが一番適切であろう。
ならこの俺は部外者だ。
逃げよう。
と考えている内にさっさと逃げればよかったと思う。
光志郎は窓の外を見て激しく後悔した。
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