夜明け

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太子 アキラはその時、苦渋の選択に強いられていた。あいた口が塞がらず、手に持っていた荷物を思わず床に落としてしまったことにも気付かない。 彼の目線の先には、新型の神姫素体が並べられてあった什器がある。“あった”、そう、それは文字通り“並べられてあった”のであって、現在は「只今品切れ 再入荷未定」と書いた紙が貼ってあるのみである。 「これは予想外だ。騎士型がこんなにも人気があっただなんて…… ふむ…………完敗だな」 まるで親友に裏切られでもしたかのような表情でそう呟くと、ふと、隣の什器に目をやった。 そこには、犬型神姫と猫型神姫が大量に積まれていた。 ‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡ ツインテールの少女は手に持った錫杖(しゃくじょう)状の武器を中段に構えると、そのヘッド部が“ガシャリ”と展開した。するとそこから バシュッ と、眩い光の刃がほとばしる。 それはビーム粒子で形成された、この世界に現存する中では最強とも言える刃状兵器であり、それの前では如何なる実体剣も役に立たない。
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