廻り始めた運命という名の歯車(前編)

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「なぁ光志郎、だとするとお前、クレイドルは持ってないんだな?」 アキラは「不味いな」と顔をしかめた。 クレイドル。 それは内部バッテリーの充電、データ整理、PCとの通信に用いられる非接触式充電通信装置である。 神姫は1日一度必ず、これでデータ整理の為“眠る”。 つまりクレイドルとPCを所持していなければデータ整理は疎か、充電すら出来ない、という事である。 それを理解した光志郎は軽く舌打ちした。 「充電すら出来ない、か…それはナンセンスだな………?」 言うと同時、ふと彼は疑問符を打つ。 「待てよ…ヴォイジャーは今までどうやって“眠って”たんだ?」 光志郎はヴォイジャーを見た(アキラもヴォイジャーを見る)。 「充電の事を言っているのならそれは心配ありません。私のバッテリーは半永久電池で、約80年の持続時間を誇ります。 身体は、ベースの骨格を“生きた”金属細胞で覆っている為、多少の破損ならば自己再生が可能性です。 だから…“眠る”のは破損の時とデータ整理の時ですが、特に外部端末が必要という訳ではないようです。 勿論、データ整理の時は端末を使用して直接PCに接続させる事も可能ですが」
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