廻り始めた運命という名の歯車(後編)

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アキラは、丁度リフトで上がって来たフェンリルと声を揃える。 「俺に勝とうなんざ」 「私を倒そうなんて」 「十年遅い!」 「凄いよ!たった半日でここまで戦えるなんて」 光志郎は、戻って来た彼らにガッツポーズをしてみせた。アキラはかけた眼鏡をクイっと上げる。 「うむ、実は初めて神姫を知った時から今日というこの日を夢見てずっと脳内シュミレーションを繰り返してきたからな。まぁ当初は騎士型をパートナーとする予定だったが。 それでもこの子は覚えが良い。半日で俺の望む戦術をちゃんと理解してくれたから今こうして勝つことが出来たんだよ。記念すべき勝利の初陣だ」 そう言ってフェンリルの頭を優しく撫でた。彼女は満足げに「うなーん」と声を上げる。 「只今ステージ整備を行っております。今暫くお待ち下さい」 と場内アナウンスが流れた。 それを待っていたかのように、先程からずっとスクリーンを眺めていた四人目の神姫オーナーが、光志郎の元へやって来る。 「ほな次はあたしらやね。 初めまして、あたしは風月 みつき。この子はフラムベルク」 フラムベルクと呼ばれた神姫が、ペコリとお辞儀をした。
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