161人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
したのだが、美波によって遮られる。
「いえ、人の面倒を見るのって結構好きなんですよ、私。
それに…光志郎兄さんって独りになると何だか餓死しそうですから」
ドア越しで、くすり、と笑う声が聞こえた。
うん、美波の将来は確定したな。てか何気に痛いところを突いてくるよなぁ…
「では、また夕方来ますから」
「うん、行ってらっしゃい。車に気をつけて」
階段を、パタパタと降りていく音が聞こえる。
「さて、と」
完全に二度寝のタイミングを逃した光志郎は、起きる準備をし始める。
それにしてもあの夢…
最近見なくなったと思っていたがまた…それもいつもより鮮明に。
彼は毎晩同じ夢を見ていた。母と少女が出てくる夢。
あれは丁度、母さんが仕事でこの家を出てから見だしたんだよな。
彼は夢に出てくる黄金(こがね)色の髪の少女の事が(初恋の女の子程では無いが)気になっていた。
いつの間にかこの夢を見ることに慣れてしまってたけど…あの子に話かけようとするといつも夢が…
と、そこまで考えていた時、枕元に置いていた光志郎の携帯電話が、着信を知らせる電子音を奏でた。ちなみに曲は、今彼が夢中になっているアニメ『無法少女』のものである。
最初のコメントを投稿しよう!