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「ッ!いったぁ~!」
「我慢しろってーの」
傷口に消毒液を付けられ、包帯を巻き付けられる。
「ほい、終了!」
ポンッと腕を叩かれる。
腕には包帯がグルグルに巻き付けられており、包帯からは薄く血が滲んでいた。
叩かれた衝撃が傷口に響き、眉間に皺が寄る。
キッと隣の男を睨むが、男は呑気に大きな欠伸をしていた。
…あまりにも呑気な欠伸に怒りが醒め、小さく息を吐く。
フッと周りに目をやると、疲れきった仲間達が重なり合うように横になっており、全員の服には赤黒い液体が付いていた。
ほとんどは先程の戦いで付いた返り血だろう。
狭い小屋内に鉄の臭いが充満し、頭が少しクラクラしてきた。
「…外、行くか?」
今まで大きな欠伸をしていた銀時が、うっすらと涙が溜まってる目を擦りながら声をかけてきた。
気を使ってくれたのだろうか?
銀時の顔には疲れが出ており、いつ敵が襲って来るかわからない状況では僅かな時間に睡眠を取らないといけないのに…
いいの?と眠っている仲間を起こさないように小声で尋ねると、まだ眠くねぇしな。とぶっきらぼうに返事をされる。
…うそばっか。
さっき大きな欠伸をしてたのは誰よ。
内心そう思いながらも、銀時の優しさが心に響き嬉しかった。
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