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会社にたどりつくころには七時を過ぎていた。最近はそんな日がめずらしくはなかったが、今日はなんだかやたらと疲れた感じがして、自分のデスクにつくと、思わず大きなため息がでた。
「そのため息じゃあ一度で何匹も殺してるな。」
背後から薫人が声をかけてきた。
「殺す?何をだよ。」
「しらないの?ため息をつくと妖精さんが死んじまうんだよ。う~ぱたってな(笑)」
机につっぷした薫人の後頭部を見ていたら、今までの鬱々したきもちが、少しすっきりしたので、思いっきりぐちゃぐちゃにしてやった。
「わっ!なにすんだよ!人が暗いおまえをはげましてやったのにそれはないだろ!」
「だからお礼だよ♪」
こいつは同期入社のときから馬があう。俺がやられているときにはこうしてさりげなく元気づけてくれる。占いが好きだったり、さっきのように妖精さんだ、魔法使いだとか、女の子がすきそうなものがすきなこともあって、こいつが女だったら、ほんとにイイ嫁さんになってくれただろう。
「そうだ!今日のみにいかないか?いい店見つけたんだよ。」
突然薫人が言い出した。
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