2人が本棚に入れています
本棚に追加
目覚めて掲げた僕の両手は
暖かい赤に染まっていた
腕の中には彼女の温もり
抱き締め、守りたかった彼女が居る
この赤は彼女のものだろうか…
だったら僕は守れなかった…
たったひとつの守りたかったものを…
しかし、彼女は顔を上げた
よかった、彼女は生きている
彼女の顔から何かが落ちて、僕の顔にポタリと落ちた
熱くて少し冷たい彼女の涙
なんで泣いているの?
言おうとしても声が出ない
あぁ、わかった
この赤は…僕の赤だ…
体はほとんど動かない
彼女の涙を拭いてあげたい
だけど腕が動かないんだ
ごめんね、泣かしてしまって
でも君を守れてよかった
だけど本当に守りたかったのは
君の笑顔だったんだ…
そう、守りたかった大事な笑顔
でも、最後にその笑顔を奪ったのは僕自身だったのかもしれない
最初のコメントを投稿しよう!