まさしく思いつきのページ

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目覚めて掲げた僕の両手は   暖かい赤に染まっていた   腕の中には彼女の温もり   抱き締め、守りたかった彼女が居る   この赤は彼女のものだろうか…   だったら僕は守れなかった…   たったひとつの守りたかったものを…   しかし、彼女は顔を上げた   よかった、彼女は生きている   彼女の顔から何かが落ちて、僕の顔にポタリと落ちた   熱くて少し冷たい彼女の涙   なんで泣いているの?   言おうとしても声が出ない   あぁ、わかった   この赤は…僕の赤だ…   体はほとんど動かない   彼女の涙を拭いてあげたい   だけど腕が動かないんだ   ごめんね、泣かしてしまって   でも君を守れてよかった   だけど本当に守りたかったのは   君の笑顔だったんだ…   そう、守りたかった大事な笑顔   でも、最後にその笑顔を奪ったのは僕自身だったのかもしれない
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