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住所は都市圏外ではあるが、そう遠くはない
「ただ乗り込むには一人じゃ心細いな…」
金で誰か雇おうかとも思ったが、慰謝料の残りは思いのほかキャバクラで使ったので殆ど残ってない
「誰か忘れていないかい?」
後ろからすもう取りみたいな声が聞こえてきた
振り返るとデブのくせに革ジャンとビンテージもののGパンにブーツと洒落た格好だが、アニメのプリントされたTシャツとバンダナにロン毛というアキバ系なのか何なのかよく分からない男がすでに汗だくで立っていた
「なんだ、フトシか…」
俺はぼそっとつぶやいた
彼の名前はフトシ、期待を裏切らない名前だが俺の幼なじみだ
「なんだとはご挨拶じゃないか、ユウジ」
そう言いながらフトシはもはやハァハァ言っている、暑苦しい
「僕も一緒に行くよ、ヤマダの本拠地に乗り込むんだろ?」
「なんでフトシが知ってんだ?」
「ユミちゃんに聞いたんだよ」
ユミは俺の妹だ、そしてフトシの片思いの相手だ
聞くとフトシがユミに
「ユミちゃんの写真撮らせてよ、Tシャツにプリントするから」
としつこくせがんだらユミが唐突にこの話をしたらしい
まぁフトシを退けるためのネタに使われた訳だ
なんて妹だ
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