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序章~後編
「なぁ俄惟(がい)、夏休みの読書感想文の本決めたん?」
「えっ?あぁまだかなぁ」
青年はとっさのことで適当に返事をした。
「ちょっといいとこ見つけてんけど行かん?」
青年はせかすように言葉を流した。
「ええよ」
「じゃぁ決まりやな。よし行こ」
青年は俄惟を引っ張るようにある場所へ連れて行った。
「こんなとこにこんなんあったんや」
そこはいつも通る道の少し裏に入ったところである。
そこには寂れて今にも何かがでそうな建物があり『古本屋 ゆいむ』と書かれている。
「ゆ、ゆいむ…覚えづらっ」
ボソッとつぶやいたがそんな言葉には気にせず青年に中へ引っ張られていく。
「すいませ~ん」
青年の声が響くがなにも返ってこない。
「いないんかな。まぁいいや、適当に本見とこ。」
そう言うとそそくさと奥に入っていった。
「……ふぅ、疲れたな」
自然と腰が下り一息着く。
「ん?…なんやこれ」
腰を下ろしたところにちょうど埃まみれの大きな本がある。
「GAME?…どんな本やろ」
裏を見てみてもなにも書いていない。
「おい。なんか店のおじさんおらんみたいやしまた明日来よ」
本を開けようとした時に声をかけられたので驚いて本を落としてしまった。
「お、あぁ…じゃぁ明日また来よか」
そう言って二人は店を出た。
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