過去

5/5
前へ
/193ページ
次へ
『おいらんっ!!』 『……そうやね。それでもわっちと結ばれたいなら、契りを交わしましょう。』 『契り?』 生まれ変わってあなたと結ばれるために… 『あっちは肩に蝶の羽の印を刻みます。ただし半分だけ……。 あなたにはこの蝶の飾りを差し上げます。この片翼の蝶であっちを探して下さい。』 先の世で、あなたと一つになれますように……… 『こんな物で納得できるかっ!!』 『あっちは水浴び場へ行きます。………さよなら。』 『おいらん!!わしを…愛しておったんや………ないんか?』 『愛して…など、いません。』 おいらんの肩は震えていた…それでも声は強くしっかりしていた。 愛しております、藤原様。でも愛しているからこそ…あなたと結ばれる訳にはいかないのです。 ………さよなら ………愛しい人……。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

616人が本棚に入れています
本棚に追加