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男に手を引かれながら、凛は立ち上がった。服に浸いた砂を手で払う。
大雑把に服の砂を取り終わってから。
「すみませんでした。そしてありがとうございます。」
深々と頭を下げ、男に謝辞と礼の言葉を言う。男は頬を掻きながら、
「いやぁ、俺もよそ見してたからなぁ。お愛顧にしようや。」
笑いながら答える。
悪い感じのする男では無い。そう言う意味でも凛は安心していた。
改めて男を観察する。 身長は凛より高く髪は茶色く、頭には船乗りがするようなバンダナを巻いている。肩に大きめのコートをかけ、腰には剣、ベルトに銃を差し込んでいる。
ふと、凛の脳裏に船に乗る前に読んだ本が思い浮かぶ。その本は義賊の海賊のお話。その本に出てくる海賊に似ている気がしたからだ。
頭を振り払い、想像を打ち消す。証拠も無いのに人を海賊扱いしてはいけない。
「どうした?何処か痛めたか?。」
気付いたら男は心配そうに凛を見ている。 黙って考えこんでいたからだろう。凛は少し慌てて、
「あ、大丈夫です。」
そう答える。
周りを見渡せばもうほとんど暗くなっている。
このまま一人歩きは本当に危険かも知れない。
凛は少し頭を抱える。 その時、
「なんだったら家まで送ってやるぞ?」
凛は少し光明を感じた。
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