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千代の家…
「ただいま」
千代が家に帰ったのはもう暗くなった頃だった。千代の顔も暗くなっている。
「千代っ!!遊ぶのはいいけど、もっと早く帰って来なさい!!」
千代の母は軽く怒っていた。
「うん…ごめんなさい。」
千代の耳にはほとんど届いていないようだ。千代は階段を上り、自分の部屋に入っていった。
「まだ悩んでんのかな?千代は…」
母ははぁーとため息をつきながらキッチンに戻った。
自室…
千代は自室でベッドに腰掛け、枕を抱き抱えながら、物思いに耽っていた。
(あの時、いたのはホントに貴だったのかな?…もしかしたら違う人だったかもしれない。でも…)
千代はもうなにがなんだかわからなくなっていた。学校では勉強も手につかず、体育の授業でサッカーをやるとき、サッカーボールがいつも、顔面に当たっている。そのせいで顔は生傷だらけである。
(ああっ、もう、なんで貴のことだけでこんなに悩まなくちゃいけないのよ。)
千代は抱き抱えていた枕を壁に投げ付けた。枕の壁に当たる音が部屋に小さく響いた。
(もう悩むのも、めんどくさくなった。明日、貴ん家に行こう。)
千代が決意を固めた時…
コンコンッ…
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