記憶の追憶(Ⅰ)

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ガチャ 母がノックしたあと、千代の部屋に入って来た。いつの間に上に上がってきたのか、千代はまったく気付かなかった。…というより、わざと気付かないようにゆっくりと上がってきたんだろう。 「やっ、ご飯できたわよ。」 母はご飯が出来たので、呼びに来たようだ。 「うん、わかった。」 千代はさっき、帰って来た時に言った言葉とは違う、芯のある声で言った。 (なんだ、ちゃんと自分で解決したんだ…) 母は笑って、千代の頭を小突いた。 「痛っ!!…何すんのよ。」 千代は頭を押さえながら、涙目になっている。 「さっすが私の子供、頑張りなよ。」 「う、うん。」 千代は顔をしかめながら、下に下りていった。 「青春だね~」 母は何かを企んだような笑みを浮かべ、千代に聞こえないように呟いた。 「ごちそうさま。」 千代は夕食を食べ終わった。今日の夕食は生野菜のミートスパゲッティだ。それを食べ終わった千代はさっさと風呂に入り、部屋に戻った。
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