199人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日…
チュンチュン チュンチュン
ジリリリリリリリリリリリリリリリ
千代の部屋に目覚ましの音が鳴り響いた。
「うぅ…あと…5分…」
千代は寝坊するときのベタなセリフを吐いた。
ガチャ
「千代…早く起きなさい!!」
どうやら、母が起きるのが遅い千代を起こしに来たようだ。
「…あと…ごふ…いや、2時間…」
「増えてるじゃない。」
母はそういって千代がしがみついていた掛け布団を引っぺがした。
「あうぅぅ…ぁぁー」
「起きなさい…………!!!!」
千代の母はなにか思い付いたような企んだ笑みを浮かべた。そして、千代の耳元でこう呟いた。
「下に貴君が来てるわよ。」
「えっ!!…マジ?」
千代はいきなり目が覚めたように起き上がった。
「う・そ…きゃははは。さっさとご飯食べて、学校に行きなさい。」
母はまるで大人には見えないような笑い方で笑ってみせて部屋を出ていった。
「くそう…騙された。」
その言葉は母にはまったく届かなかった。
リビング…
「ごちそうさま…」
千代は手を合わせていった。
「千代、気をつけなさいよ。最近、ここらへん、変質者が出るらしいから…」
「どんな?」
千代が聞くと…
「えっと確か…猫や犬を殺すって奴だわ…毒の入ったものを動物にあげたり、川に捨てたり、包丁で刺し殺したり…」
「動物だけじゃん…」
千代は安心しきったような顔で見たが…
「でも、気をつけた方がいいわよ…」
「なんで?」
と千代が聞くと…
「あんた…動物に近いから…きゃははは」
「うるさい!!」
千代はランドセルを背負って学校に向かった。
「ありゃりゃ、怒らせちゃった…」
母は「あー、面白かった。」と言って、洗濯物を取りに風呂場へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!