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束縛
『束縛』
神… 私の愛した人…
神… 私のお慕いしていた人…
神…私を愛してくれた人…
神…なぜあなたは……
先に逝ってしまわれたのですか?
神と私との出会いは劇的だった…
電話でのやり取りだけだったが、私は運命を感じた。
この人に私の人生の全てを捧げようと、この時に誓った。
+―+―+―+―+
「神…おはようございます。朝食の用意が出来ております」
「あぁ…おはよう魅上」
私は…神のおそばにいる事を選んだ。
神の名は、夜神月様。
月と書いて“ライト”と読む…とても神秘的で…とても惹かれる名をお持ちだった…
そう…私は、このお方に人生の全てを捧げると誓ったのだ。
「どうぞ…」
コトッと音をたて、綺麗に盛り付けられた皿を神の前に置く。
「ありがとう…魅上」
「いえ…」
神のこの笑顔が見たいから、私は生きているのです。
しかし…私は…
“一線をこえてしまった”
+―+―+―+―+
「あっ…ハァ…み…かみっ…」
「神っ…」
「あっ…んっ…あぁぁ!」
私は神を…私は神を……
愛してしまった…
+―+―+―+―+
グッタリして、少し疲れている神に、私はコーヒーを差し出した。
「ありがとう魅上」
嬉しそうにニッコリと微笑み、コーヒーを飲む神。
どんな事をしていても、やはり神はお可愛いらしい……
(ハッ…いかんいかん…変な事を考えるんじゃない…)
私は、変な方向にすっ飛びそうな思考を無理矢理停止させる。
「魅上…ずっと一緒にいようね!」
そう言ってニッコリと微笑む神の笑顔の、なんと美しい事…
ですが神…それは、無理なんです…
だってあなたは………
+―+―+―+―+
あの人が逝ってから早1年…
私は、何度目かの神の誕生日を祝う。
「お誕生日おめでとうございます…月さん…」
一緒にいれない事ぐらい…わかっていたのに…
私もそうあればいいと…神と共に淡い夢を見ていた……
それが無理だと…わかっていたはずなのに…
それは…神も同じだったはずで…
それなのに…神は…あなたは…
「どうして…あんな事を仰ったんですかっ…」
そう……神はあの大量殺人犯…キラだったから…
いつか捕まる事も…もちろん…捕まれば死刑になるであろう事も知っていたはず…
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