束縛

1/6
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

束縛

『束縛』         神… 私の愛した人…     神… 私のお慕いしていた人…     神…私を愛してくれた人…     神…なぜあなたは……             先に逝ってしまわれたのですか?               神と私との出会いは劇的だった…     電話でのやり取りだけだったが、私は運命を感じた。     この人に私の人生の全てを捧げようと、この時に誓った。     +―+―+―+―+   「神…おはようございます。朝食の用意が出来ております」 「あぁ…おはよう魅上」 私は…神のおそばにいる事を選んだ。 神の名は、夜神月様。 月と書いて“ライト”と読む…とても神秘的で…とても惹かれる名をお持ちだった… そう…私は、このお方に人生の全てを捧げると誓ったのだ。 「どうぞ…」 コトッと音をたて、綺麗に盛り付けられた皿を神の前に置く。 「ありがとう…魅上」 「いえ…」 神のこの笑顔が見たいから、私は生きているのです。 しかし…私は…     “一線をこえてしまった”     +―+―+―+―+   「あっ…ハァ…み…かみっ…」 「神っ…」 「あっ…んっ…あぁぁ!」 私は神を…私は神を……   愛してしまった…     +―+―+―+―+   グッタリして、少し疲れている神に、私はコーヒーを差し出した。 「ありがとう魅上」 嬉しそうにニッコリと微笑み、コーヒーを飲む神。 どんな事をしていても、やはり神はお可愛いらしい…… (ハッ…いかんいかん…変な事を考えるんじゃない…) 私は、変な方向にすっ飛びそうな思考を無理矢理停止させる。 「魅上…ずっと一緒にいようね!」 そう言ってニッコリと微笑む神の笑顔の、なんと美しい事… ですが神…それは、無理なんです…         だってあなたは………      +―+―+―+―+   あの人が逝ってから早1年… 私は、何度目かの神の誕生日を祝う。 「お誕生日おめでとうございます…月さん…」 一緒にいれない事ぐらい…わかっていたのに… 私もそうあればいいと…神と共に淡い夢を見ていた…… それが無理だと…わかっていたはずなのに… それは…神も同じだったはずで… それなのに…神は…あなたは… 「どうして…あんな事を仰ったんですかっ…」 そう……神はあの大量殺人犯…キラだったから… いつか捕まる事も…もちろん…捕まれば死刑になるであろう事も知っていたはず…
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!