全てが揃う時

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 先ほど走っていた二人の青年――奇妙な耳を持つジェンユー、奇妙な右腕を持つグリムが取っ手の無いドアの前に立っていた。 「あ~ヤッパリここは、何度来ても緊張するな~。」グリムがつぶやく。 「何故だ?」隣にいるジェンユーが問いかける。 「え?だってあの人コエーじゃん。」グリムがはねた薄い金髪の頭を掻く。 「じゃあ、入らないのか?」ジェンユーが睨む。 「んな事言ってないだろ!」眉を真ん中に寄せてグリムが睨み返す。 二人が言い争っている間にプシューと音を立て取っ手の無いドアが横に開く。 「入ってこいだと。」ジェンユーが言う。 「え?ジェン聞こえたのか?」グリムが問う。ジェンとは彼の愛称だ。 「忘れたのか?お前より耳は、はるかに良く聞こえるんでね。」ジェンユーが投げやりに答える。 「早く入るぞ。」すたすたとジェンユーは、部屋に入っていく。あわててグリムは追いかけた。image=80215671.jpg
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