◆家族◆

4/5
前へ
/50ページ
次へ
ふと、明楽と目が合った。 そして、どちらともなく笑い合う。 明楽の笑った顔が、好きだ。 虹時が、嬉しそうに話している風景が、好きだ。 親父が、百合さんが、みんなが、笑いあっているのが、好きだ。 実感する。 この家が、幸福感で充ち溢れている今この時が、俺にとって一番大事なんだ。 母さんがいなくなって、明楽と百合さんと出会って、家族になって。 その家族っていう輪の中に、俺もいることがこんなにも嬉しい。 俺は幸せなんだ。 「きぃ」 明楽の優しい声。 「うん?」 「…あたし、今幸せなんだ」 「うん」 彼女はゆっくりと俺の隣に座る。 「あんたと…あんた達と出会えてよかった」 「俺も」 「だから、約束」 スッと、差し出された小指。 俺はそれにゆっくりと自分の小指を絡ませる。 「ずっと、みんなで…この家族で、幸せになろう」 照れ臭そうに明楽ははにかむ。 「おうっ!」 キュッと、小指に力が入って、俺は笑った。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加