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ふと、明楽と目が合った。
そして、どちらともなく笑い合う。
明楽の笑った顔が、好きだ。
虹時が、嬉しそうに話している風景が、好きだ。
親父が、百合さんが、みんなが、笑いあっているのが、好きだ。
実感する。
この家が、幸福感で充ち溢れている今この時が、俺にとって一番大事なんだ。
母さんがいなくなって、明楽と百合さんと出会って、家族になって。
その家族っていう輪の中に、俺もいることがこんなにも嬉しい。
俺は幸せなんだ。
「きぃ」
明楽の優しい声。
「うん?」
「…あたし、今幸せなんだ」
「うん」
彼女はゆっくりと俺の隣に座る。
「あんたと…あんた達と出会えてよかった」
「俺も」
「だから、約束」
スッと、差し出された小指。
俺はそれにゆっくりと自分の小指を絡ませる。
「ずっと、みんなで…この家族で、幸せになろう」
照れ臭そうに明楽ははにかむ。
「おうっ!」
キュッと、小指に力が入って、俺は笑った。
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