顔の無い月夜

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朝:いつもと変わらない朝二人分の膳を盛る 昼:黒色箱の中の貴方が 何故だか小さく見えた 夜:古いアルバム広げ あの日の二人を思い出す   変わらぬ顔 貴方の表情が見えないよ お願い  何か私に答えて   (さようなら) 夜に浮かぶ鏡に 移るのは貴方=月光蝶? キラキラセピア色の思い出たちが喉に詰まり 息が出来なくなった   もう明日は貴方を送り出す日 イヤ・・・イヤ・・・離れたくない   眼に映っては割れていく 貴方のガラス球  常に色が増えて変わっていた あんなに綺麗だったのに 綺麗だったのに 今は光が無い・・・ ねぇ ワタシはここにいるよ 貴方は何処に行くの? お願い帰ってきて・・・   嗚呼 貴方を焼く炎 煙と一緒に蝶が飛んで逝くよ 青いお月様に上って行くよ  貴方は小さくなり あのよの月みたいに顔が無くなった   さようなら・・・ もうお別れだね 悲しいけれどさようなら月光蝶 それでもワタシの中に在る命が 貴方のような気がして 息が出来ない   (さようなら・・・)   さようなら さようなら さようなら 必ず来世で会いましょう   キラキラと 落ちる涙が流れ星みたいで それに願いを掛けた
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