そして君は歩き出す。

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僕は夜を歩くのが好きだ。 こうして毎日ぶらついている。 昼とは違う空気、 闇の気配、 空の星、 まるで自分が自分じゃないように感じる。 その感覚が好きだ。 だって、ほら、ルーティンワーク? 面倒臭いだろ? ワーカホリック? 誰かの名前? 誰っすか、ワーカさんって? 昼間感じてたくっだらない感情が、 夜の空気に洗われていく。 気持ちがよかった。 何もかも忘れられる気がした。 煙草とか吸ったら、 もう最高の夢が見られる。 結局、現実逃避だってことにも、 ちゃんと気付いてる。 ただ、その瞬間だけ、 現実を見たくないだけなんだよ。 とっくに気付いてる。 歩き続けても、 いつもそんな考えに行き着いて、 帰路につくんだ。 今日もそう、いつもと同じ。 いつものように帰るんだ。
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