そして君は歩き出す。

6/11
前へ
/83ページ
次へ
目が覚める。 と同時に目覚まし時計。 意味無いな、この時計。 鳴り続ける時計を止めてから思う。 毎回こんな感じに起きるんだよな。 「ふぁ、あぁ~」 ぼんやりしながら学校の制服に着替え、 リビングに移動した。 この時間にはもう誰もいない。 この家で一番平和な時間。 テーブルには書き置き。 冷蔵庫に朝ご飯が入ってます。 食べてから学校に行きなさい。 母より。 とりあえず無視。 朝は食べらんないんだよ。 そう思いながら家を出る。 僕が通う学校は、歩いて行ける距離だ。 昨日の公園を通って坂を上ればすぐ。 なのに遅刻するのは何故だろう? 今日は遅刻せずに行けそうだけど。 と公園前を通り過ぎようとしたら、 「おっは」 何か居た。 何故? 制服を着た吹島が居た。 いや、今日は学校だから当たり前だけど。 それに、[いた]というより、 待ってたように見える。 今まではこんなことなかったのに、 なんでいるんだろう? 「…なんで?」 思わず声に出た。 「今は朝だもの」 いやいやいや、挨拶じゃねぇよ。 「違ぇよ、なんで待ってんだよ」 「待ってたことはわかるんね?」 さっきのはワザとか。 わかりづれぇよ、吹島かおり。 特にその無表情が。 「ん。なんとなく待ってた」
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加