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ぼーっと天井を眺めていると、
すーっとカーテンに光の線が当たった。
「あ!」
あわてて起き上がる。
光の線はカーテンを撫でるように円を描く。
レイジだ!
帰ってきてるんだ!
勢いよくカーテンを開ける。
窓の真向かいに懐中電灯をくるくる回しながら、縁に腰掛けるレイジの姿があった。
「レイジ!」
「しっ!麻那、みんな起きるだろ」
月明かりでレイジが口に人差し指を付けてるのが分かる。
「だって久しぶりなんだもん」
麻那はレイジに届く小さい声でつぶやく。
「1ヶ月かー、今回も長いな」
レイジは窓の縁に腰掛けながら、遠い目をした。
うっすらとその姿が見える。
髪・・・んー、伸びたみたい。ゆるく肩ぐらい?
相変わらず綺麗な顔。
切れ長の目に薄い唇。
小さいときは女の子かと思うほどの美人。
「麻那ー、そんな見つめちゃって穴開くだろー」
これはレイジの口癖。
「や、いつ見てもかっこいいね、レイジは」
と言ってやる。
それが二人の決まり。
麻那とレイジは家が隣のいわゆる幼なじみ。
ついでに同級生で部屋も真向かい。
お互い物心つく頃から知り合い。
仲も悪くない。
アイドルとなった今でも帰ると合図がある。
最近はめっきり帰ってこないけど。
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