chapter1

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今の季節は夜でもじっとりとした風が吹く。 「麻那は夏休みかぁ、いーなー大学生ー」 相変わらず、抜けてるような、脱力してるような話し方。 スイッチを切った懐中電灯をプラプラさせてた。 「つまんないよ?なんもないし寝てばかり」 手すりに肘をついてうなだれる。 それを聞いたレイジは真っすぐ麻那をみてニヤリと笑い。 「色気ねーの」 一言つぶやいた。 麻那は無言にその時間を感じていた。 この時間が好きだ。 虫の声、遠くに町の明かり。 取り残されたようなこの空間は今レイジと二人きり。 このまま時間が止まったらいいのに。 「ねぇ、仕事・・・大変?」 夜風に吹かれる横顔に向かって呟いた。
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