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今の季節は夜でもじっとりとした風が吹く。
「麻那は夏休みかぁ、いーなー大学生ー」
相変わらず、抜けてるような、脱力してるような話し方。
スイッチを切った懐中電灯をプラプラさせてた。
「つまんないよ?なんもないし寝てばかり」
手すりに肘をついてうなだれる。
それを聞いたレイジは真っすぐ麻那をみてニヤリと笑い。
「色気ねーの」
一言つぶやいた。
麻那は無言にその時間を感じていた。
この時間が好きだ。
虫の声、遠くに町の明かり。
取り残されたようなこの空間は今レイジと二人きり。
このまま時間が止まったらいいのに。
「ねぇ、仕事・・・大変?」
夜風に吹かれる横顔に向かって呟いた。
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