chapter1

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「そろそろ寝ようかな、麻那ともしゃべったし!」 腕を伸ばして背伸びをする。 遠くの空が白んできた。 夏の夜明けは早い。 「今年もツアーなの?」 背伸びの後に、あくびをするレイジに問いかける。 「うん、だから次はいつになっちゃうかな、帰ってくるの」 しばらくまた会うことがなくなる。 「麻那はライブ見に来たいって言わないね」 灯りのついてない懐中電灯をくるくると回す。 「え?」 今まで言ったことも聞かれたこともない。 「これでもねぇ、結構人気あるんだけどなぁ、俺達。ま!逆に恥ずかしいからいいけど」 ちょっとすねたような素振り。 人気があるのなんて知ってる。 ツアーの日にちも分かってる。 出してるアルバムやシングル、写真集、雑誌、ちゃんと買ってる。 テレビもチェックして必ず録画。 レイジを見ない日なんてない。 でも・・・。 これは知られちゃいけない。
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