3.それだけの事

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委員会の、一つ年上の先輩に。 いちいち話す事でもないと思うんだけど、念のため、××君には言っておこうと思って。 あのね、 私、その告白、 OKしようかと思ってるんだけど… 小さく紡がれる言葉の数々を耳に入れる僕の頭は、思ったよりも冷静だった。 そっか、告白されたんだ。 そっか。 それはきっと、彼女に他の誰かが、『好き』と伝えたという事だろう。 僕が、この16年間、一度も言う事が出来なかった『好き』を、その人は勇気を出して彼女に伝えたのだろう。 それは、とても凄い事だ。 僕は、そっと、その人の事を尊敬する。 彼女は、もう何も喋らなかった。 僕も何も言えなかった。 数分の時間が過ぎ、いつものように、いつもと同じ時間に、駅に、電車がやってくる。 僕達を目的地まで運んでくれるそれに乗り込んでからも、僕らは無言だった。 何を言えばいいのか、何を話せばいいのか、僕にはさっぱり分からず。 ただただ、隣に座っている一人の女の子の方を見ないように、窓の外をじっと見つめていた。 「そっか」 結局、僕が発した言葉は、電車から降りる時に言った、それだけだった。
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