4.再会

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一度、壊れてしまった歯車は、もう二度と回り始めない事を僕は知っていた。 昔は、そんな事微塵も知らなかったのに。 今は、知っている。 それは、とても悲しい事だけれど。 仕方ない、と肩をすくめてみるしかない。 世界とは、そういうものなのだ。 あの日の、僕と彼女のいた世界と。 今、僕が存在する世界は。 同じだけれど、まるっきし違うのだから。 車から排出される排気ガスのように、今日も世界は、汚いものや悪いものや、僕達が知りたくなかったたくさんのものを、何食わぬ顔をし、生み出していく。 僕はそれを止める事も出来ずに、ただただ嘆くしかない。 「そっか」 「うん」 「そっかそっか」 隣にいる彼女は、笑っていたけれど。 笑っていたけれど、それは僕の好きなあの可愛らしい笑みではなく、どこか痛々しい。 悲しそう、というより、寂しそう、というより。 からっぽ。 からっぽの笑みだ。 でも、からっぽなのは僕の心の方だ。 彼女には僕以外に友達がいる。 僕にも、彼女以外に友達がいる。 それでも。 僕達にとって、『幼馴染』という存在は、お互いだけだった。
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