4.再会

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好きという二文字を僕は言えずに、今までの人生を生きてきた。 自分は、子供だから、照れてしまって言えないのだ。 大人になったら、きっと言えるようになるに違いない。 そう思いながら過ごしてきた日々の中で。 僕は、それが間違っていたという事を知る。 本当は、大人なんかより、ずっと子供の方が。 自分の気持ちを相手に伝えるには、適している動物だったのだ。 大人になった僕は、あの二文字の本当の意味にも気づかないまま。 ただ、誰かに囲まれているフリをし。 本当はいつだって独りぼっちなのを隠して、毎日、息をしている。 叫べれば良かったのに。 苦しいって、泣きたいって、 本当は、本当は、君の事が『好き』だったんだよ、って。 幼馴染という枠には入りたくなかったんだ。 きっと、僕は。 君の、『恋人』になれる日を夢見ていたんだよ。 『好き』と言えるチャンスを。 僕は、もしかしたら、待っていたのかもしれない。 そんなチャンスなんて、ずっと昔に、通り過ぎてしまっていたなんて事にも気づかずに。 彼女の隣の椅子に座り。 流れる景色を見つめながら、ずっと、ずっと、ずっと。 ずっと、待っていたのに。 誰もいない隣の席に、ぽんと手を置いた。 彼女の感触は、そこにはカケラも残っていなくて、僕はすんと鼻を鳴らす。 すんと鼻を鳴らして、カンカンと叫ぶ踏み切りの音にだけ、身をゆだね。 明日からの人生なんて、明るい未来なんて、考えないように、目を閉じた。 眠りの世界に行きたくもないのに無理矢理入り込んでいった。 夢なんて見なかった。 見る方法すら忘れてしまった。
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