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小学生の時、僕らは自由だった。
何も怖いものなどないと、そう信じて生きてきた。
僕たちの生きる世の中には、きっと素晴らしい世界が待っていると。
何故だか、そう思い込んできた。
本当は、世界には汚いものも悪いものも、見ていられないものもたくさん存在するというのに。
それでも、幼い僕達は。
今、自分達の目の前に広がっている、輝かしい希望だけが全てだと思い。
お互いの手を、ぎゅっと、握り締めたのだ。
全ては中学一年の時に始まり、全ては中学二年の時に、ちょっとずつ、ずれていく。
ランドセルの必要がなくなったその頃、僕は生まれて初めて着た制服というものにたいそう感激し。
黒いそれを羽織っては、鏡の前で、じっと座っていた。
今、思えば、変わった子供だったと思う。
学生鞄の中に、適当に教科書を詰め込み、いつものように、家を出て行く。
駅で、彼女と待ち合わせをし、一緒に笑いあう。
昨日見た映画が、とか。
この前発売されたCDが、とか。
隣のクラスの篠原さんが、とか。
話す話題は尽きなくて。
毎日が、嬉しくて楽しくて。
真夏の世界に浮かぶ空とか、そんな当たり前のものが綺麗に思えた。
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