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和馬さんに制裁を加えてゆっくりしていたら千明が
「食事が出来たみたいなんで、下に集合ですよ~」
といつもの陽気な調子で呼びにきたので私は彼を放置して昼食を取りに向かった。
昼食はそうめん・サラダ、と質素な物でしたが中々の美味だった。今更ながらに材料の質よりも作る人の優しさ、それを共に食べられる仲間が大切なんだと実感した。そんな事を考えていたら涙が溢れていた。
「あれ?円さん、口に合いませんでしたか!?」
京助さんが慌てて尋ねる。
「いいえ、そんな事はありませんわ。ただ嬉しくて…。」
『嬉しい』と言ったものの、それだけではなかった。
「不味いとか言ってたら私が怒りますよ~?」
千明が笑顔で言う。
「いやいや、僕は別にそう言われてもいいから」
悲しみ・怒り…そんなやり場のない感情が強かった。彼等に責任はない。悪いのはあんな悲劇を繰り返す原因を作ってしまっている私の方。
…大丈夫。あの人はまだ今まで通りだ。何度もあったからとは言え今度も必ずあるとは限らない。例え、それが運命でも私はその未来を変えてみせる。
「美味しいですわよ。是非また作って下さい。」
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