一日目、始まりの風

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まだ夏休みが始まってから三日ぐらいしか経ってないのに半分!?ますます腹が立つ。わたしなんて鞄から出してすらいないのに。 「それは凄いですね~。そんな事より、わたしの京助君は!?」 わたしは言うのと同時に辺りを落ち着きなく見渡す。京助君は橘 京助(たちばな きょうすけ)と言う小柄で大人しそうな男の子。同級生だけど成績も悪く、弟みたいな雰囲気をしていてついつい構いたくなる。 「やれやれ…相変わらず少年好きかよ。」 和馬がバカにするようにわたしを見ている。あんたには解らないと思うけど、京助君は可愛いんだよ!? 「母性本能に満ち溢れてると言って欲しいですね~。そう言う和馬よりは可愛げがあると思いますよ~?」 「ハッ、別にお前に気に入られても気味悪りぃだけだ。こっちから願い下げだな。」 いちいち勘に触る言い方をするヤツだ。和馬じゃからかい甲斐がない。やっぱり京助君しかないな。答える気はないみたいだし自分で探しに行った方が早そう。 「奇遇ですね~。わたしも和馬に気に入られたくないですよ~。と言う訳で京助君探しに行って来ます~。」 わたしは和馬が来てから、ぼーとしている円を置いて広くもない家の中を探索に出かけた。
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