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朝七時四十五分 通学
信じられないけど、私は黒塗りの高級車で学校に送迎されている。
最初は冗談かと思ったけど二年たった今もまだ冗談は続いている。
ふかふかのソファみたいな車のシートに座って私は主の事を想う。
初めて会った時……私を拾ってくれたあの時から主の事が大好きだ。
だけど最近何か違う。
前は抱き締められたら嬉しくて、私も主に抱き付いていた。
もちろん今でも抱き締められるのは嬉しい。
でも……私は主に抱き付く事が出来なくなった。
抱き締められた時の主の匂いとか長い腕とかたくましい胸板とか近づく顔とか……ダメだ…ダメダメだ……もうドキドキよりバクバクって感じになる。
口から心臓が出そう…いや、出せる気がする!
…はぁ…どうしよう…でもどんなに苦しいくらいドキドキしてもやっぱり主に抱き締められたいよ………
運転手「お嬢学校に着きましたよ」
雪乃「…あっ!はい!ありがとうございます」
運転手「それじゃあ帰りはいつも通り四時に迎えに来ますんで、お気を付けて」
雪乃「はい。行ってきます」
運転手「…もしもし…いえ、お嬢は無事学校に着きました…はい。…あの…差し出がましいかと思いましたがお嬢が車の中で何か考え込んでいる様だったんで…悩み事があるんじゃないかと…一応報告だけしておきます…いえ失礼します。」
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