淑女ハ檻デ佇ム

6/7
95人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
日差しは差し込んでいるが どこか薄暗く ひんやりした廊下。 伊達は受付を済まし 涼子に会いに 面会室へ向かっていた。 落ち着いていたと 思っていた鼓動が また激しくなる。 唇が乾く。 伊達は涼子が面会室に入るまで 面会室の前の椅子に座る事にした。 椅子に腰掛けて 煙草に火をつける。 紫煙を思考に絡ませ 今までの事を 思い返していく。 心に吹く 渇いた風を 止めるために。 伊達が煙草を 半分程吸い終えた頃 面会室の扉が開いた。 看守らしき女が顔を覗かせて言う。 「伊達さん お待たせしました 面会の準備ができましたよ」 伊達は煙草を灰皿に入れると ゆっくり立ち上がった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!