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「すいませんでしたぁっ!!」
案の定の遅刻。
顧問のお説教の後、オレは校外五周が命じられた。
やりきれなさが胸の中を掻き回す。
ムカつく。
オ前ハ一番手ダロ。
腑甲斐ナイ。
オ前ガ部ヲ引ッ張ラナイデドウスル。
気ヲ引キ締メロ。
バーコードの罵声が頭の中を駆け巡る。
フザケルナ。
舐メテンノカ。
言イ訳ハ聞キタクナイ。
「クソダラがぁっ!!!」
十周目のスパートをかけながら、道路沿いの看板を殴り付ける。
鉄板は高音を立て、凹みが入る。
書かれていた求人情報は、その字を歪めた。
右手が真っ赤になるが、それ以上の怒りがオレを支配していた。
今日の部活は早くに終わった。
原因は二つ。
バーコードがキレたのと、オレが一切のやる気を起こさなかったからだ。
オレ達三年にとって現役最後の夏期大会が近いというのに。
最悪の日曜日。
「お疲れぇ♪」
さっさと帰り支度を終え、駐輪場に向かう途中、いつもの馴々しい声。
「お前らしくねぇぞぉ、タケ?」
「放っとけ」
振り返らずに素っ気なく返事をする。
黙々と目的地に向かう。
この二人とは今は関わりたくない気分。
メチャブルー。
後ろの二人を無視し、鍵を差し入れようとしたが、叶わなかった。
オレに構うな……
願いは、届かなかった。
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