ある夏の日

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先にも言ったが、僕の家は田舎だ。 夏場にもなると、ムカデやゲジゲジが家に上がり込むのはさほど珍しいことではない。 が、よりによって自分の部屋とは。 ムカデは、隙間を見つけては隠れてしまう。 どこにいるかわからないこの状況、うかつに眠れば命取りだろう。 まず、コイツの始末が先だ。少し眠くなり始めていた僕は、ない知恵を絞ってそう考えた。 とりあえず下のリビングに行き、蠅叩きとキ〇チョールを持って部屋に戻った。 既にムカデは隠れており、居場所の特定が困難な状態だった。 この部屋は、お世辞にも綺麗とは言えない。というか、汚い。 紙や雑誌が散らかり、足の踏み場もない。 ムカデにとって、戦況は有利だった。
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