ある夏の日

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右足を出せば雑誌を踏み、左足を伸ばせばペットボトルを蹴り飛ばす。 闇雲にキ〇チョールを噴射するも、ムカデは一向に姿を見せない。 僕は、ついに一つの決心に至った。急がば回れと言う奴に近いが、一度部屋を片付けて、ムカデの防衛線を取り払い、改めて戦うことにした。 早速、リビングに戻りゴミ袋とビニール手袋を拝借してきた。 いつムカデと対峙しても良いように、僕は片手に蠅叩きを装備しながら部屋の一掃を開始した。 まず、目に付く大きな障害物…つまり、雑誌から片づけ始めた。 本棚を再整理し、一冊一冊並べてゆく。一時間程で、壁がカラフルになった。 ムカデに対する恐怖で、思うように作業が進まない。しかし、やらねばならない。 空は白みかけていた。
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