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男の子は怪獣みたいだ。
バクバク喰ってスクスク育って、いつの間にやらデカイ図体。
ギャーギャー喚いて殴りあい、挙げ句に教室を破壊。
すごい生き物だね。ヒト科思春期オス。
「アキラ、次生物だから移動しないと」
弥生が私を呼ぶ。
「なんか、お腹痛いから様子みてから保健室行くわー」
嘘をついてみた。
「そっか。気を付けるんだよ。後でノート見したげる」
弥生は分かってるよ、と言わんばかりにニヤリと笑って教室を出ていく。
弥生好きだぁ。
私は堂々とサボると公言するほどチャラくもなければ、度胸もない。
かといって大人しくもなく、マジメでもない。
曖昧にそれなりに学校生活を過ごす地味な女子生徒。それが私である。
もうすぐ夏が終わる。
けど今日はまだ夏みたいな青空で、真夏よりは柔らかな日差しにちょっと冷たい風が気持ちいい。
さっきお昼を食べたから眠気がいい感じに脳内麻薬を放出してる。
こんな気持ちイイ時に、授業なんて受けてらんないよ。
気が付くと、私は教室の中ぽつんと一人取り残されていた。
ベランダにでてスカートが汚れるのなんか気にせずコンクリートに直接座る。
太陽の熱がじんわり伝わってきて気持ちいい。私の中に脳内産の麻薬物質が満たされていく。
眠たいや。
上マブタと下マブタが恋しがってるから仕方ないんです。
マブタよ好きなだけスキンシップなさい、と私は目を閉じた。
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