ジャンクガール

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ガラッ。 突然教室のドアを開ける音が響く。 今まさに授業をサボっている、いわば現行犯な私は、びくりと体を硬直させた。私は元来、悪いことの出来ない小心者なのだ。 おそるおそる扉の方へ視線を移していく。 教室に入ってきたのは、…敦賀だった。 今年の夏最悪のあの日。 今年の夏どころか、今までの人生の中で最悪ともいえるかもしれない、あの日。 私は取り返しのつかないコトをしてしまった。 私は敦賀の手を失った。 そして敦賀を失った。 にも関わらず、敦賀を誰よりも意識しているのだと気付いてしまった。 蝉が狂ったように鳴く夏休み前の終業式の日。 背中を汗が伝っていく暑い日だった。 その日何が起こったのか。 あんまりにもベタでありがちな出来事だ。 クラスの女子に声をかけられ他愛もない話をしてた。 青春まっさかりな女の子の話題はいつだって恋バナってヤツに落ち着く。 「敦賀ってさ、アキラのこと好きなんじゃない?」 まさか、いつも恋バナは聞き役に撤する私にネタが振られるとは。 しかも相手は敦賀。 しかもしかも敦賀が私を好きじゃないかなんていう。 驚いてフリーズする私。 だってあまりにもそれはアリエナイことで、そしてそんなことを言われてしまうのは、私が敦賀のことをもやもやと考えてたことがバレてしまったからじゃあないかと思った。 自分自身でも分からない感情が外部に漏れてるんじゃないかという恐怖。 誰よりも敦賀に知られたくない気持ち。 「アキラも敦賀を意識しちゃってたりする?」 人の気も知らず、楽しそうに、かつ興味深々といった面持ちで探りを入れてくる女の子たち。 なんとかしなきゃ。 なんとかしなきゃ。 私の気持ちが壊れてしまう。 「何いってんのー?そんな訳ないじゃん」 気が付くと私は喋っていた。 笑いながら喋ってたんだ。 「えーマジで?ちょっとアヤシーよぉ」 「そういや授業中なんか敦賀アキラに寄ってくよね?」 もうやめてくれ。 私はこれ以上喋りたくないの。 「敦賀がやたら消しゴム無くすから貸してるだけだって」 気持ちと裏腹に声が止まらない。 これ以上喋らせないで! 「席がとなりで迷惑なだけだよ」
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