ジャンクガール

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私はきっと赤い。 言ってしまった。 でも、ずっと思っていたこと、だから。 嘘じゃない、本当の言葉だから。 壊れそうな心は、実はとっくに壊れてたんじゃないだろうか。 それか、狂っちゃったんだ。 敦賀が私の消しゴムつまむときに、何か他のもんまでつまんでっちゃったんでしょう? だから私は、こんなにも、苦しい。 「…相原」 「…ん」 敦賀の顔が赤い。 おかしいや。 敦賀も私みたいに、どっか壊れちゃったんだろうか。 そうだったらいい。 「終業式の日、本当は、夏休み一緒に遊ぼうって、いいたかったんだ」 「もうダメ?」 私は自分に驚いてる。 ちゃんと喋れてる。 今ならいろんなこと、敦賀と話せそう。 消しゴム貸してる頃、話したくても話せなかったのにね。 「これから、遊びにいかねー?天気いいし」 外は青空、日差しが強くて、まだ夏みたいだ。 「そうだね。こんな日にマジメに授業なんて受けてらんないよね」 私たちは視線を合わせて、ちょっと笑った。 「相原ってさぁ、マジメにやってますって顔して、要領良くサボってるよなぁ」 「あ、バレてた?」 「うん。見てたから」 敦賀はまだ赤い。 きっと私も。 「やべ、もうすぐ授業終わるぜ」 「わ、ほんとだ」私たちは慌ててカバンをつかむ。 「ほら、急ぐぞ」 敦賀はそういうと、私の手をつかんだ。 いつも消しゴムをつまんでた、デカくて、きれいな手。 私に触れた敦賀の手は、熱くて、私の手より全然デッカくて、それでやっぱりきれいだったんだ。 ------------------------END
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