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外に出た8人の内2組がそれぞれ離れていき、その場に残ったのは詩織、瑠璃、大津、亮平の4人となり、この後どうするか?という会話をかわしながら夜の街中を歩く。
「ねえ?いいの?」
「何が?」
「さっきのお店の…」
店での会計のことを心配そうに瑠璃が話すと亮平は「いいよ。別に」と言って気にしないように歩き続ける。それでも少し気にしてる風な瑠璃に大津がフォローするかのように話す。
「気にしなくていいよ。男から俺が集めて後から渡すからさ」
「でも…」
「いいんだって。楽しかったからさ」
はははっと笑う大津につられて瑠璃の顔にも僅かに笑みが浮かぶのを見て、大津がまた楽しそうに笑う。
「うん。やっぱり笑顔がいいよね」
そう言って、自身も笑顔を絶やさない大津を見て、詩織が亮平に話し掛ける。
「大津君っていつもあんな感じ?」
「ん?あぁ、いっつも笑ってるな…昔から…」
「昔から?」
亮平の言葉に少し疑問に浮かんだ詩織が尋ねると亮平が答える。
「俺らは中学からの知り合いなんだよ。なんの因果か大学まで同じになったけどな」
「そうなんだ。だからか…」
何かに納得したように詩織が呟くのを聞いた亮平が今度は質問すると、詩織は少し困ったように話す。
「なんとなく…なんだけどね。二人がよくわかりあってるみたいだったから…」
店の中、そして外に出てからも感じていたことを話すと、亮平が微かに笑う。
「確かに…付き合い長いしな」
「あっ…」
笑いを苦笑いに変えながら話す亮平に詩織が息を飲む。その姿を見た亮平が声をかけるが、詩織は「ごめん。なんでもない」と答えると、またいつも通りに戻って話しながら歩く。
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