Prologue

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「結城、ちょっといいか?」 「なんですか?部長」 彼女の名前は結城 詩織(ゆうき しおり) 星華大学の光画部に所属する3回生である。くりっとした目が魅力的で、少し癖のある髪の毛をショートにまとめた可愛い女性である。 部長と呼ばれた男が詩織に近寄って行き前に立つ。詩織は決して小さい方ではないが、大柄の部長の前ではやはり小さく見える。 あまり似合わない取り合わせに周囲からの視線が集まる中、部長は詩織に向かって話し始める。 「もしその気があるなら…学園祭での人物パネルを結城に任せようと思っているんだが……やってみる気はないか?」 ざわざわざわざわっ 部長の一言に周囲がざわめく。 それもそのはずである。学園祭の人物パネル…それは光画部の展示会場の入口正面に大きく飾り、その年の客の数さえも左右すると言われている写真部伝統の物である。 「代々、3回生がやっているんだが…今年は結城に任せたい。俺達4回生の中で話し合った結果だ。勿論、やる以上は責任を持ってやってもらう」 部長が力強く言い放つ。 周囲のざわめきがおさまらない中、詩織が口を開く。
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